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麻芛・麻薏湯とは ― モロヘイヤの仲間、台中の夏の味

麻芛(マーウェイ)とは ― 台中の人が愛する夏の味

麻芛(マーウェイ、台湾語でムアイン muâ-ínn)は、黄麻(ジュート)の若葉です。日本でおなじみのモロヘイヤの仲間で、台中では夏になると、この葉でつくる冷たいスープ「麻芛湯」が食卓に並びます。

小説『台湾漫遊鉄道のふたり』の「麻薏湯」

台中出身の作家・楊双子の小説『台湾漫遊鉄道のふたり』(三浦裕子訳、中央公論新社)の第三章「麻薏湯」に登場する黄麻の葉のスープは、まさにこの麻芛湯のことです。小説では「麻薏」と表記されています。日本語版は2024年に日本翻訳大賞を受賞しました。台中にお越しの際は、ぜひ本場の味を確かめてみてください。

麻袋から生まれた食文化

日本統治時代、米や砂糖を運ぶために大量の麻袋が必要となり、農家は黄麻の栽培を奨励されました。麻袋や麻布をつくる時に葉は使われませんが、もったいないと考えた台湾の人々が葉脈を取り除いて料理に使い、甘いサツマイモと煮込むスープにしました。これが、台中・南屯の名物となった麻芛湯のはじまりです。

「麻穎」「麻芛」「麻薏」― 名前の由来

「芛(ウェイ)」は標準中国語で「尾(ウェイ)」と同じ発音で、草花の芽生えを指します。台湾語では「イン(ínn)」と言い、これも若葉のことです。「麻薏(マーイー)」と書かれることもありますが、「薏(イー)」は薏仁(ハトムギ)を指すため、本来の意味には「穎」の字のほうが適しています。林金生香の商品名には「麻芛」を使っています。

台中の暑気払いスープ「麻芛湯」

葉脈を取り除き、よく揉んで苦味を抜いた葉を、甘いサツマイモと一緒に煮込みます。旬は真夏で、ペクチンや栄養が豊富なことから、麻芛湯は体の熱を取り、胃にやさしい夏のスープだと一般に言われています。

どんな味?

ほのかな苦みのあとに甘みが戻り、青々とした香りが広がります。「野菜のよう」「抹茶のよう」と言う人もいますが、どちらとも少し違います。まさに台中ならではの味です。

なぜ台中でしか食べられないの?

日本統治時代、台湾では農業の分業が進みました。中南部はもともと麻の栽培に向いていましたが、南部ではその後サトウキビへの転作が進み、台中の豊原が麻の主要産地の一つとなりました。のちに烏日に麻の加工工場ができたことで、麻の栽培と加工は南屯の周辺に根づきました。今でも南屯は、台中の主要な麻芛の産地の一つです。

黄麻と甜麻の違い

現在市場に出回っている麻芛の多くは、苦みが少ない「甜麻(ティエンマー)」という品種です。揉み洗いの手間が少なく調理しやすい一方で、麻芛ならではのほろ苦さは弱くなります。林金生香は今も黄麻の契約栽培を続けています。本来の味を残すため、そしてこの土地で麻を育て続ける人がいるように、という思いからです。

旬はいつ?

麻芛の旬は、旧暦の端午節から中秋節まで(新暦ではおおむね6月ごろから9月ごろまで)です。近年は気温の上昇により、伝統的な季節より長く収穫できる年もあります。

林金生香の麻芛スイーツ

林金生香(WISH LIN)は1866年創業、台中・南屯の老舗菓子店です。地元の農家や「田媽媽」(台湾の農村女性によるグループ)と協力し、麻芛を使った太陽餅、幸運菓、ケーキなどを作っています。どのお菓子からも麻芛の爽やかな香りと、ほろ苦さの中の甘みを感じていただけます。

麻芛のお菓子は麻芛の紹介ページ(中国語)の下の商品一覧からご覧いただけます。台中にお越しの際は、ぜひ店舗でもお試しください。

店舗情報

  • 林金生香:台中市南屯區萬和路一段59號
  • TEL:+886-4-2389-9857
  • LINE:@1866.tw

English: Jute Soup